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解決事件紹介

 弁護団所属の弁護士により一定の解決を見た事件の一部をご紹介いたします(※記載は事件の概要です。また、類似の事案だからといって必ずしも同様の解決ができるわけではありません。)。

【内科】

 01 糖尿病性ケトアシドーシスで腹痛・嘔吐を訴える患者を単なる風邪と誤信し、インシュリン治療を行わずに死亡させた事件。一審で勝訴的和解。
 02 狭心症様の症状を訴えて入院したが心電図検査が実施されないまま胸痛が悪化、4日後に搬送された大学病院救急救命センターで心筋梗塞と診断された事案。訴訟上の和解。
 03 C型肝炎に対する経過観察として半年に1回程度腹部エコーを実施していたが、相手方のエコーで異常なしと診断された直後、別の医療機関で12×11pの肝癌発見。その後、肝癌破裂から死亡。相手方が責任を認めて訴訟前の示談。
 04 急性白血病でDICが疑われる患者に対し抗DIC治療や血小板輸血などの治療を実施せず入院3日目に脳内出血で死亡。専門医療機関への転送義務を認め低額の慰謝料のみを認容した判決に原告側控訴、被告側付帯控訴。約1.5倍の損害額を認容した高裁判決が確定。判例タイムズ1256号掲載。
 05 めまい、食欲不振などを訴えてA医院受診し、メニエル病との診断名で入院するも、意識状態悪化。家族の訴えにもかかわらず脳神経の検査をしないまま容態悪化し、家族がB病院に転院させヘルペス脳炎と判明。B病院での治療も遅れ、高次脳機能障害の後遺症を残し、約8年後に死亡。相手方双方と訴訟上の和解。
 06 下痢・便秘・吐き気・食欲不振等で相手方に通院するも改善みられず、初診より約9ヶ月後に横行結腸癌が発見され、1週間後に手術するも癒着により切除できず、5ヶ月後に死亡。訴訟上の和解。
 07 造影剤アレルギーの既往のある患者に造影剤を使用した胸部CT検査を実施しアナフィラキシーショックで死亡。原告の請求を認容した一審判決が確定。
 08 内視鏡検査前処置としてキシロカインビスカスを嚥下し、セルシン及びブスコパンを注射した直後に心室細動・呼吸停止を生じ、死亡に至った事案。1審は、以上3つの前投薬のうちのいずれかによるアナフィラキシーショックを死因と認定した上、前投薬に際しての問診・観察義務違反及び説明義務違反を認めて原告勝訴。控訴審で訴訟上の和解。判例タイムズ1166号掲載。

【腹部外科】

 09 胃がんによる胃切除術の23日後の患者が、急激な腹痛を発症し、翌日の開腹手術で広範な小腸の壊死が見られ、小腸のほとんど全部を切除することとなった事例。絞扼性イレウスの診断及び開腹手術の遅れを認めた一審判決を維持した上、損害額を増額した控訴審判決が確定。判例タイムズ1145号掲載。

【脳神経外科】

 10 前交通動脈及び脳底動脈の動脈瘤に対するネッククリッピング手術中に内頸動脈を損傷したため、内頸動脈止血のため一時クリップをかけて脳底動脈瘤クリッピングを施行したが、内頸動脈の血行遮断が135分という長時間に及んだため、その灌流域に脳浮腫を生じさせ、脳ヘルニアによる死亡に至った事案。内頸動脈を損傷した過失及び損傷後内頸動脈再建手術を優先しなかった過失を認めた地裁判決が、高裁でも維持され確定。判例タイムズ1138号掲載。

【心臓外科】

 11 単心房・単心室の先天性心疾患(無脾症)の患者(18歳女性)に対するフォンタン手術中に心房裂創を生じ、術後、高次脳機能障害を残し、その後死亡した事案。一審、二審とも原告が一部勝訴し、高裁判決が確定。判例タイムズ1266号掲載。

【整形外科】

 12 オートバイの転倒で搬送され、単純な非開放性の大腿骨骨折と診断し擦傷等の応急手当をしたが、運動麻痺出現、翌日別の医療機関に搬送され、血管造影の結果大腿動脈の断裂が判明して手術するも、予後悪く、最終的に大腿部以下を切断。一審で訴訟上の和解。
 13 骨折治療のための入院中に投与されたボルタレン・コスモシン等の副作用でスティーブンス・ジョンソン症候群を発症し、ほぼ失明、全身瘢痕を遺す。一審で原告勝訴、控訴審で訴訟上の和解。判例時報1731号掲載。

【救急】

 14 野球部の練習中に熱中症で倒れた高校生が救急車によって病院に搬入されたものの、クーリングが不適切だったために体温低下に時間がかかり、半月後、多臓器不全で死亡。医療機関の責任を認めた一審判決確定。判例時報1853号、判例タイムズ1182号掲載。

【産科】

 15 分娩誘導目的で頚管熟化剤マイリスを静脈注射したところショック状態となり、ショックからは回復したものの胎児仮死出現、別の医療機関に搬送し2時間後に帝王切開で出産したが重症新生児仮死で低酸素脳症後遺症を残し、後に死亡。原告の請求を認容した一審判決が確定。判例タイムズ1106号掲載。
 16 分娩中に痙攣を起こして意識消失した妊婦に対し、頭部CTを撮影しないまま帝王切開を実施、脳出血の発見が遅れて死亡。請求棄却の一審判決に原告側が控訴し、高裁で脳出血発見の遅れの責任を前提とする訴訟上の和解。
 17 新生児仮死で出生し、脳性麻痺の後遺症を残した女児について、分娩後の低体温防止義務違反を認定し、請求を認容した一審判決に対し病院側控訴。控訴審での鑑定で分娩監視義務違反が肯定され、ほぼ一審判決と同額で訴訟上の和解。判例時報1863号掲載。

【婦人科】

 18 A病院で30代未婚女性の乳がんを、確定診断に必要な検査も行わずに進行がんと診断して乳房切除・腋窩リンパ節廓清術を行い、術後、病理組織検査結果も待たずに放射線照射のためにB病院に転院させ、B病院の放射線医も、病理検査結果を手にしないまま、放射線照射を開始し、「非浸潤性乳管がん」という検査結果が届いた後も中止せず、その結果、乳房再建を困難にした事案。A病院(執刀医)の責任を認めB病院(放射線医)の責任は否定した一審判決が確定。判例時報1865号掲載。

【新生児・小児科】

 19 新生児核黄だんに対する交換輸血が遅れて脳性麻痺の後遺症を残した事例。原告の請求を認容した高裁判決が確定。
 20 新生児集中治療室で管理されていた新生児の大腿骨遠位部骨頭に骨髄炎が発症、下肢短縮、運動障害の後遺症を残す。感染経路、発見治療の遅れ等が争点となったが、裁判所は足背部の点滴刺入部位から感染したものであり、何らかの消毒不十分が推認されるという事実認定を前提に和解勧告、双方これに応じて訴訟上の和解。
 21 腹痛を訴える3歳女児を腹部X線撮影もしないままウイルス性腸炎と診断し、輸液で観察中に容態急変し死亡。解剖で小腸軸捻転による絞扼性イレウスと判明。相手方が責任を認めて訴訟前の示談。

【眼科】

 22 球後視神経炎に対するステロイド・パルス療法中にネズミチフス菌による左化膿性股関節炎を発症したが、その発見、対処が遅れ運動障害の後遺症を遺した事案。訴訟上の和解。

【耳鼻咽喉科】

 23 慢性中耳炎で鼓膜穿孔のある患者に、リンデロン点耳薬(抗生物質とステロイドの合剤)を処方し、連用が36日間に及んだため、後遺障害等級9級に該当する難聴の後遺症が発生。責任を認めた地裁判決が高裁でも維持され確定。判例時報1837号、判例タイムズ1167号掲載。

【歯科・口腔外科】

 24 インプラント術後、インプラント周囲炎による下顎底歯槽骨の吸収を来たし、咀嚼機能不全を遺した。訴訟上の和解成立。

【精神科】

 25 精神発達遅滞の入院患者の誤嚥・窒息の発見が遅れ死亡。相手方が責任を認めて訴訟前の示談。

【高齢者】

 26 誤嚥の危険がある患者に対して、看護師が義歯を装着させずにおにぎりを食べさせ、誤嚥から窒息、約1年間の遷延性意識障害を経て死亡。原告の請求を認容した一審判決が確定。判例時報1988号、判例タイムズ1277号掲載。

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